Netflixの海外ドラマで英語リスニング
ここでは、Netflixをフル活用してリスニングのトレーニングを行う方法を解説します。リスニングのトレーニングに役立つ各種ツールの紹介や、Netflixのおすすめコンテンツなどを紹介しています。
Netflixは月額800円から利用することができ、楽しく生の英語に触れることができます。スマホやタブレットに映画や海外ドラマをダウンロードすることもでき、外出先で楽しむこともできます。Netflixでリスニングのトレーニングの勉強をするコツは楽しむこと。自分がおもしろいと感じ、継続して見られる作品を選ぶことが最も大切です。
まず1回目に日本語字幕を見てストーリーを把握し、2回目に英語字幕で見たり字幕なしで見る、というような勉強方法が効率的であるとされています。自分がとてもおもしろいと思える作品であればこうした繰り返しにも苦痛を感じず楽しくトレーニングすることができます。セリフの暗記や登場人物のまねをして発音してみる練習、シャドーイングなども効果的です。
なお、Netflixの設定画面で設定言語を英語にすると英語字幕の作品の表示を増やすことができます。
リスニングのトレーニングには「Language Learning with Netflix」
リスニングのトレーニングを行うなら、Google Chromeの拡張機能「Language Learning with Netflix」がおすすめです。英語字幕と日本語字幕を両方表示させることができ、1つ前のセリフに戻るのも「←」キーを押すだけでできるなど、リスニングの勉強にとても役立ちます。また、画面の右側に字幕を一覧表示させる機能がありますが、その部分の一番上にあるプリンターのアイコンをクリックすると、英日対訳を表示させることができます。このまま印刷してもいいですし、Excelなどにコピーして編集することもできます。PDF化してタブレットに入れておく、というようなこともできますね。これはかなり使える機能です。また、再生速度の変更も可能です(0.7x、0.8x、0.9x、1.0x、1.25x、1.5x)。
Chromeブラウザの拡張機能ですので、Windows、Mac両方で利用できます。ショートカットキーは「↑」が一時停止、「↓」がセリフのリピート、「→」が次のセリフへ、「←」が1つ前のセリフへ、です。ショートカットキーをうまく使うことで学習がはかどります。
Netflix「アンビリーバブル たった1つの真実」より。ここではブラウザを2つ立つ上げ、左側には「Language Learning with Netflix」使用中のNetflixを表示し、右側には「Language Learning with Netflix」から作成した英日対訳を表示しています。他にもアイデア次第でさまざまな使い方が可能です。
Netflixの字幕をダウンロードする方法
Netflixの字幕をダウンロードするには、Google Chromeの拡張機能「Subadub」を使用します。この拡張機能をインストール後、Netflix再生画面の右上に拡張機能が表示されます。言語を選択して「Download SRT」をクリックすると、「srt」という拡張子のファイルがダウンロードされます。このファイルは、Windowsでしたら「メモ帳」や「秀丸」など、Macでしたら「テキストエディット」や「mi」などのテキストエディター系のソフトで開くことができます。このままでは学習に使いにくいかもしれませんが、たとえばExcelなどでうまく編集すれば英日対訳のスクリプトを作成することができます。ただ、現時点では「Language Learning with Netflix」の英日対訳表示機能の方が便利かなと思います。
Netflixのキーボードショートカット
Netflix視聴時にはキーボードショートカットが利用できます。ショートカットは以下のとおりです。
- スペース – 再生/一時停止の切り替え
- Enter – 再生/一時停止の切り替え
- F – フルスクリーン
- Esc – フルスクリーンを終了
- 左矢印 – 10秒の早戻し
- 右矢印 – 10秒の早送り
- 上向き矢印 – 音量アップ
- 下向き矢印 – 音量ダウン
- M – 消音の切り替え
なお、スマートフォンやタブレットのNetflixアプリではキーボードショートカットはありませんが、画面の右半分をダブルタップすると10秒早送り、画面の左半分をダブルタップすると10秒早戻しを行うことができます。これもリスニングに便利な機能です。
Netflixアプリのピクチャーインピクチャー機能の活用
Netflixでは一部の環境でピクチャーインピクチャー機能を使用することができます。ピクチャーインピクチャー機能とは、ブラウザなど他のウィンドウを開いたまま、同時にNetflixの画面を小さく(フローティングウィンドウの形式で)表示する機能のことです。これにより、スクリプトのサイトを開きながらNetflix動画を鑑賞するというようなことが可能になります。大きなモニタのパソコンではこうした機能をわざわざ使わなくてもいいのですが、スマートフォンやタブレットなどを使用する際に便利です。
まず、残念ながらiPhoneではこの機能は使用できません。ですがiPadでは利用できます。Netflix再生中にホーム画面に戻る(ホームボタンを押すなど)だけです。そのままSafariなどでスクリプトのサイトを開けば、スクリプトを見ながらリスニングをすることができます。また、Androidスマートフォンでも利用できます。こちらも再生中にホームボタンに戻る操作を行えばピクチャーインピクチャーで再生が継続されます。また、機種によってはドラッグしてNetflixのフローティングウィンドウを動かしたり、ピンチアウト・ピンチインによりサイズを変更したりすることもできます。
Netflixのどの作品を選べばいいか?おすすめの作品とおすすめでない作品。
基本的には自分がおもしろいと思い、何度も繰り返し見たいと思えるような作品がいいということになります。英語の勉強に限らず、勉強は「楽しむこと」が一番のコツです。
・「ブラックリスト(The
Blacklist)」・・・FBIの最重要指名手配犯のレディントンが突然FBIに出頭し、捜査に協力して事件を解決に導くというストーリー。レディントンは何のためにそんなことをしているのか??やや難しい単語が多く登場するイメージですが、ストーリーがおもしろく、やみつきになります。treason(裏切り)、mole(モグラ、スパイ)、elude(逃れる)などSVL12000のLevel10〜12の単語がちょくちょく出てきます。アルクの「レベル別語彙リストSVL12000」を参考に、英語字幕に出てくる単語の分析を行ってみたところ、レベル1〜3の単語で93%程度カバー、レベル1〜6の単語で96%程度カバー、レベル1〜9の単語で98%程度カバーしています(シーズン1の1〜10話の英語字幕を分析)。なおNetflixでは、シーズン1のみ英語字幕を出すことができます。残念ながらシーズン2以降は日本語字幕のみとなります。ただ、著作権上の問題が生じる可能性があり注意が必要ですが、インターネット上で検索すれば字幕データ(トランスクリプト)を公開しているサイトは複数出てきます。シーズン1予告編はこちら
「ブラックリスト」に出てくる英単語で覚えておきたいものをこちらにまとめています。
・「アンビリーバブル たった1つの真実(Unbelievable)」・・・Netflixオリジナル作品。全8話。レイプ事件の被害者の少女、そして事件を追う女性刑事の物語で、実話に基づく作品です。Netflixオリジナル作品には、この作品のように8話程度で完結するものが多くあり、繰り返し見て勉強するにはいい長さです。アクションシーンなどはなく、会話が主体なのでリスニング、英会話表現の勉強に向いています。警察、犯罪関連の単語も多く登場しますが、普通のアメリカ人が見てわかる内容になっているはずですから、そういった単語を頭に入れておいても損はないだろうと思います。予告編はこちら
・「ハウス・オブ・カード 野望の階段(House of Cards)」・・・Netflixオリジナル作品。各シーズン13話×6シーズン(シーズン6は8話まで)。権力を手に入れるためならなんでもする男の出世物語。政治、政策関連の単語も多く、やりがいがあります。政治ニュースのリスニングもできるようになりたいと思うなら、このドラマは勉強になると思います。ちなみに”house of cards”というのはトランプのカードで作った家のことで、不安定で崩れやすい状態を表す英語の表現です。日本語には「砂上の楼閣」という表現がありますね。シリーズ予告編はこちら
・「グッド・プレイス(The Good Place)」・・・Netflixオリジナル作品。天国と地獄が出てきて、地獄には行きたくないからなんとか頑張る、みたいなコメディー。1話20分ほどなので、忙しい人でも毎日1話だけ楽しむ、というようなこともできていいと思います。会話が主体なのでリスニング、英会話表現の勉強に向いています。軽く楽しむコメディーなので、難しい表現もあまりありません。哲学が出てくるので少しだけあるのですが、そこは飛ばしてもいいかなと思います。Trailer(英語字幕あり)はこちら
・「フレンズ(Friends)」・・・全10シーズン。昔から「海外ドラマで英会話の勉強」というと真っ先にこのドラマが挙げられてきました。とにかくおもしろいので飽きないのです。ただ、2019年10月現在、Netflixでは3〜10シーズンが配信されています。huluでも配信されています。
・「殺人を無罪にする方法(How to Get Away with Murder)」・・・毎回、敏腕弁護士でもあるアナリースとその生徒たちが依頼人の無罪を勝ち取っていくのですが、自分たちも殺人事件に巻き込まれ、追い込まれていくというストーリー。法律用語なども入ってくるため、リスニングのレベルとしては易しくはありませんが、ストーリーはとてもおもしろく、のめり込んでしまいます。恋愛要素もあり、”What would you do if you were in my shoes?”(俺の立場だったらどうする?=彼女が浮気してたらどうする?)と聞かれたときのフランクの答えである”That’d never happen. Girls cheat with me, not on me”(そんなことは起こらない。俺は浮気する側だから)というセリフが私の個人的なお気に入りです。ちなみに原題の”get away”の意味はOALDによると、”an escape from a difficult situation, especially after committing a crime”で、つまり、罪から逃れるということを言っている表現です。シーズン1予告編はこちら
・「メシア(MESSIAH)」・・・Netflixオリジナル作品。「メシア」として迷える人々の前に現れ、大きな影響を与える男の話。果たして彼は何者なのか。個人的には好きなストーリーなのですが、登場人物が英語でない言語を話すことが多く、英語もネイティブでない人の英語が多いため、英語のリスニングのトレーニングには向きません。シーズン1予告編はこちら
・「オザークヘようこそ(Ozark)」・・・Netflixオリジナル作品。オザークという田舎町に引っ越し、麻薬組織のボスのために働く家族の物語。犯罪関連の会話が多く、日常会話という感じではないため、リスニングトレーニングという点からすると万人向けではありません。予告編はこちら
・「KONMARI 〜人生がときめく片づけの魔法〜(Tidying Up with Marie Kondo)」・・・こちらは海外ドラマではないのですが、リスニングのトレーニングに最適なのでご紹介します。これは「こんまり」こと近藤麻理恵さんがアメリカの散らかった家庭を訪問し、片付けのアドバイスをしていくドキュメンタリー番組です。単純に家がきれいになるだけではなく、家族の心や関係性に変化が現れるところまで描いており、非常に完成度の高い作品に仕上がっています。この作品がどうしてリスニングのトレーニングに最適なのかというと、舞台が家の中であり、片付けがテーマであるために、日常生活に関する英単語や表現が頻繁に登場するからです。ぜひ英語字幕を表示して家庭内のいろんな表現を学んでみてください。ちなみにこんまりさんは主に日本語で話されていますが、通訳の方がきれいな英語で発音してくださっているので問題ありません。私個人の話をすれば、この番組が「通訳が優秀」だと話題になっていることを知り、通訳が優秀ってどういうことなんだろうと思って見てみたというのが、この番組との最初の出会いです。通訳の方がどう優秀なのかも注目ポイントです!番組の雰囲気がよくわかる動画はこちら
日本のアニメでもリスニング
Netflixで配信されている日本のアニメの中には、英語の音声、英語の字幕に切り替えて鑑賞することができるものもあります。日本のアニメだと親しみやすく、内容も難しくないので理解しやすいということがあります。ただし、登場人物のセリフと表示される字幕は同じではありません。字幕を見ればだいたいの意味は把握できるはずですが、それはセリフとまったく同じではないのです。これは、海外ドラマや海外の映画の吹き替え版のセリフと、日本語字幕が同じものではない、というのと同様です。字幕は文字数に制限があるからです。
Netflixで現在配信されている作品には「とある魔術の禁書目録」、「とある科学の超電磁砲」、「サイコパス」、「東京喰種」、「B: The Beginning」などがあります。あと、アニメではありませんが「リラックマとカオルさん」も英語で楽しめます。Netflixでは英語音声つきのアニメはあまり多くはないのですが、ジブリのDVDなどは、英語音声・英語字幕で観賞できるものがあるようです。